おれは幼稚園に通っていた頃、たびたび女の子にいじめられていた。
その度によく泣いていた。
そんなおれを母は心配していた。

小学校低学年の時、おれは体が弱かった。
そのために水泳の時間はプールに入ることもできなかった。
だから上の学年になっておれが水泳大会で25メートルをやっと泳ぎきった時、母はまるで自分のことのように喜んでくれた。
母はおれが大人になってもことあるごとにおれがプールで泳ぎきったその話をいつも嬉しそうにしていた。

おれが神社で自転車で転んだ時に地面に割れたガラス瓶の破片が転がっていて左の膝に七針半を縫う怪我をした時、何キロもある遠い病院まで一人でおれをおぶっていってくれた。

中学に入ってすぐおれが3つの病気を立て続けにして何か月も学校を休んだ時、母は毎日朝から晩までずっと看病してくれた。

運動会にも、参観日にも、PTAにも必ず来てくれた。
幼稚園の時も、高校の時も毎日弁当を作ってくれた。
おれがずっと目指していた進学校の夢をあきらめなければならなかった時も、失恋した時も励ましてくれた。

母は毎日のように神社やお寺にお参りに行った。
いつも何をお参りしているのか、母に尋ねたことがある。

「家族が健康でいつも楽しく幸せに暮らしていくことだよ」
母が答えた。