母のことを思い出していくうちに、父のことも思い出した。
そうやって自分の心の中を見つめていくうちにいつの間にかおれは、内観をやっている自分に気がついた。

じつは、内観は過去に何度かやろうとした。
しかしその時のおれは父の愛も、母の愛もほとんど感じられなかったどころか、感謝の気持ちもなかなか湧いてこなかった。

トラウマを持っている時、人はその過去の出来事を思い出さなくするか、あるいは感じることをやめてしまう。
感じることは危険だと無意識にそうしてしまう。
そして多くはそのトラウマだけでなく、他の思い出を感じることも止めてしまう。

感じることを始めるためには、トラウマを克服して、もう感じてもいいんだと思わなければ感じられない。

もしかしたら、おれはやっと感じることを自分に許し始めたのかもしれない。

しかし、ここまで来るまでおれは、どこまで長く果てしない道を歩いてきたのだろうか。