朝から静かだった。
目覚めても、しばらくそのことに気がつかなかった。

ベッドの中で横になったままじっと耳を澄ませてみると、
ガラス窓と障子を通していつも聞こえてくる、家の外からの音が、ほとんどない。
静まり返っている。
車がアスファルトの地面の上を走り去って行く音が、時折するだけだった。

起きて窓の外を見ると、
青く澄み渡る空が見え、
すっかり葉っぱを落とし枝だけになった林が見え、
そして、濡れた路面が見えた。

一昨日、東京も雪が降った。
それは降ってもすぐに融けてしまい、ほとんど積もることはなかった。
道路以外の所には、ちらほら白く積もっている所も見受けられたが、あまり大したこともなかった。
そして、昨夜も夜遅く雨が降ったのだろう。

天気予報を見ると、信州は雪だった。
東京と違って、冬は雪がよく積もった。

そこで自分が生活していたことを思い出す。
冬になって、その積もった雪の上を歩いたり、
自転車に乗ったり、
車を運転していたことを思い出す。
信州と違って東京は雪が積もらない分、生活するのは楽なのだろう。

ふと気づく。
自分が今、東京で暮らしていることがとても不思議だ。
何年か前には全く思いもしなかったことだ。
人生とは、本当はそういうことの繰り返しなのかもしれない。
だから、面白いとも言えるのかもしれない。

自分はこれから再びどこへ行くのだろうか。
そして、一体どうなっていくのだろうか。

それは、いつも謎のままだ。
きっとこれからも。